ずっと気になってた焼鳥の名店へ。
軍鶏の昆布〆の刺身から始まり、焼き物はあっさり目のササミからタレ付きの味のあるつくねなどは後の方。
ラストは軍鶏の親子丼で超満腹! 席はカウンターの目の前で、火の熱で暖かい。
土日はコースのみということで、2人で4000円と6000円のコースをひとつずつ頼んで味見し合った。












北千住の名店『地鶏焼 バード コート』でいただいた軍鶏尽くしのコースは、ひとつひとつの皿に物語があり、口に運ぶたびに背筋が伸びるような緊張感と、解きほぐされるような幸福感がありました。
まず驚かされたのは、軍鶏の昆布〆の刺身。透明感のある切り身は、照明にかざすとほのかに光るほど繊細で美しい。昆布の旨みがじんわりと染み込みながらも、軍鶏特有のしっかりした歯ごたえと野趣あふれる香りが失われていない。わさびも醤油も、ほんのちょっとで十分。静かに咀嚼する時間が愛おしくなる、そんな一品でした。
続くササミは、想像をはるかに超える火入れの妙。外は香ばしく、中はわずかにレア。ふわっとほどけるようでいて、芯の強さも感じるササミは、まるで熟成されたホタテのような旨みの凝縮感。これまで食べてきた「ササミ」のイメージが軽々と更新されていきます。
そして、つくね。この店の真骨頂とも言える逸品でした。手捏ね感のある不揃いな丸みの中には、軟骨のコリコリ、脂の甘み、軍鶏の深いうま味がぎゅうっと詰まっている。外はパリッと香ばしく焼かれ、タレの香ばしさが鼻に抜ける瞬間、口の中はもう宴状態。思わず「うまい」と呟くしかない。
そしてフィナーレにいただいたのが、軍鶏の親子丼。これがもう、事件レベル。とろとろの卵の中に、ぷりぷりの軍鶏のもも肉。甘めの出汁がしっかり絡み、米一粒一粒にまで旨味が染みている。レンゲが止まらず、無言で完食してしまったほど。レビューを書く者としてどうかと思いつつ、理性より先に手が動いてしまうとは、まさに料理の魔力。
店内はカウンター中心で、焼き場が目の前。焼き師の所作を見ながらいただくスタイルは、ライブ感にあふれ、まさに食のエンターテイメント。内装はモダン和風、木と火の温もりに包まれて落ち着けます。カウンター席の特等席感は格別で、目の前で焼かれていく様子に見入ってしまいます。
スタッフの接客は静かで丁寧。多くを語らずとも、目線や間合いでこちらのタイミングを測ってくれるその接遇力に感服しました。初訪問でも気負わず過ごせる空気を作ってくれているのが、とてもありがたかったです。
この店で特に嬉しかったのは、「焼き鳥=カジュアル」という枠を超え、素材、技術、空間すべてにおいて“美食”の領域を目指していること。けれど、気取った感じがない。すべての焼き鳥ファンに一度は足を運んでほしい、そんなお店です。
| 電話番号 | 03-3881-8818 |
| 営業時間 | [火~金・土・祝] 17:30〜22:30 LO22:00 |
| 定休日 | 毎週月曜日 毎週日曜日 |
| 住所 | 東京都足立区千住3-68 鹿明ビル 1F |
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