
家系の看板で知られる壱角家 スカイツリー店で、あえてスープなしの油そばを選ぶ楽しみ。丼が届いた瞬間、醤油ダレと香味油のふくよかな香りがふわっと立ち上がり、期待が一段深まる。
まずは麺だけを一口。太めで弾力があり、噛むたびに小麦の甘みがじわり。ここに底のタレをすくい上げるように混ぜ込むと、麺の一本一本に艶が出て、醤油のキレ、背脂の丸み、香ばしさが一体になって押し寄せてくる。最初の数口はコクを素直に味わい、途中から卓上の刻み玉ねぎを少し。シャキッとした辛味とみずみずしさで重さがいい具合にほどけ、さらに酢をほんの数滴落とすと輪郭がくっきりして最後の一口まで飽きない。刻み海苔の香りは後味を軽くしてくれて、レンゲを置くタイミングを忘れる。
チャーシューは厚み控えめながら繊維がほどけやすく、タレの甘じょっぱさと相性良好。メンマは穏やかな味付けで、全体のバランス役として働く。うずらの卵が入るのも壱角家らしいポイントで、黄身のまろみが油そばのコクをまあるく包む。ニンニクは半さじずつ段階的に。入れ過ぎは主張が勝ってしまうので、香りを立たせる程度がちょうどいい。卓上に並ぶ調味料が手元にまとまって置かれていて、味の微調整がしやすいのも嬉しいところだ。
店内は明るく清潔。カウンター中心で回転がよく、短時間でサッと食べたい時に頼れる。スタッフの声かけは過不足なく、こちらのペースを尊重してくれる距離感が心地よい。観光エリアに近い立地ながら、一人でも気兼ねなく席に着ける雰囲気で、夜の時間帯は仕事帰りの人や散策帰りの人などがほどよく分散している。混雑時は提供までの数分で麺のハリがわずかに落ちることがあるので、届いたら早めに全体を混ぜて麺にタレをまとわせるのがおすすめ。そうすることで“もちっと感”がしっかり残る。
他のメニューは家系の豚骨醤油を軸に、トッピングの自由度が高いのが魅力。油そばにも温玉やネギ増し、海苔追加などの組み合わせがハマる。次に来たら、温玉+ネギ多め+酢を控えめに、後半でラー油をほんのひと回し——そんな構成で、重さとキレのバランスを自分好みに仕上げてみたい。深夜まで営業しているのもポイントで、スカイツリー近辺で「しっかり食べたいけど重過ぎは困る」夜に、欲しい満足感をきちんとくれる存在だ。
総じて、壱角家 スカイツリー店の油そばは、家系の骨太な旨みを基調にしつつ、混ぜるほどに表情が変わる“操作感”が楽しい一杯。香りの立たせ方、油とタレの塩梅、麺の力強さが三位一体となり、食べ手の手元で完成度が上がっていく。個人的なレビューとしては、味変の自由度が高いことと、最後までだれないタレの設計が推しポイント。観光や買い物の帰り道、短い滞在でも満足度を作れる油そばだと思う。
| 電話番号 | 03-3626-6681 |
| 営業時間 | 10:30〜03:00 |
| 定休日 | |
| 住所 | 東京都墨田区業平1ー18ー41F・2F |
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