おやつにつるつるさっぱりと♪ 甘さ控えめ上品なひととき。
コーヒーとプリンも。
はたかにと。




奈良の風情をたっぷり感じながら、ゆったりとした時間を過ごせる「天極堂 奈良本店」で、名物の“抹茶”と“わらび餅”をいただきました。
まずは抹茶。運ばれてきた瞬間から、その鮮やかな緑に目が釘付け。香りはふくよかで、ふんわりと立ちのぼる抹茶の苦味にうっとり。ひと口含めば、舌の上でまろやかに広がる旨みと渋みのバランスに驚きます。点てたてならではのなめらかさもあり、しっかりしたコクがあるのに、後味はすっきり。心がスーッと澄んでいくような感覚に包まれました。
そして本命のわらび餅。これがまた、びっくりするほどぷるっぷる! 見た目からして透明感があり、フォークで持ち上げると揺れるほどの柔らかさ。口に入れると、つるんと舌を滑り、そのあとに広がるやさしい甘みと本わらび粉ならではの独特のコシ。きなこの香ばしさと黒蜜の深い甘みが相まって、五感で楽しめる逸品でした。
ちなみに、こちらのわらび餅は注文を受けてから練り上げているとのこと。職人の丁寧な手仕事が伝わってきて、ただの「おやつ」とは一線を画しています。これはもうレビューに書かずにはいられません。
コーヒー。深煎り寄りながら、やさしい苦味と芳ばしさが際立つ一杯。提供時には「葛菓子との相性も考えて焙煎しています」と教えてくれて、なるほど納得。すっきりとした後味で、甘味との組み合わせが重くならないように計算されている印象。カップも手になじむ陶器で、温かみがあってなんだかほっとする。
そして、お楽しみのプリン。こちらが、ちょっと驚きの仕上がり。スプーンを入れると、ややしっかりめの食感で、なめらかすぎない“昔ながらの王道プリン”。でも、ただの懐かし系ではないんです。卵の風味が濃厚で、ほんのり香る葛のなめらかさも感じられる不思議なバランス。カラメルはビター寄りで、コーヒーとのペアリングも抜群。実はこのプリン、葛をほんの少し使って固めているそうで、「さすが天極堂…!」と、うれしい裏切りをくらいました。
店内は和モダンな内装で、ゆったりとしたテーブル配置。カウンター席もあり、ひとりでも気兼ねなく楽しめる雰囲気。窓からは奈良の街並みを望め、ほっとする時間を演出してくれます。畳の小上がりもあり、子連れでも安心です。
スタッフさんの接客もとても丁寧で、にこやかで気持ちよく、まるでお茶会に招かれたようなあたたかさがありました。「お時間いただきますが、出来立てをぜひ」と勧めてくれた姿勢も印象的で、商品への誇りと愛情が伝わってきました。
店頭には、葛を使ったお土産やスイーツもずらりと並んでいて、見ているだけでも楽しい。テイクアウトもできるので、奈良観光の休憩にもぴったりなスポットです。
特に嬉しかったのは、「和菓子がちゃんと“体験”になる」こと。手間を惜しまず、素材を生かし、丁寧に仕上げる姿勢。それを五感で味わえる贅沢が、ここにはあります。
| 電話番号 | 0742-27-5011 |
| 営業時間 | [月・水~金・土・日] 10:00〜19:30 LO19:00 |
| 定休日 | 毎週火曜日 |
| 住所 | 奈良県奈良市押上町1-6 |
| ホームページ | http://www.kudzu.co.jp/ |